人間らしく働くための九州セミナー㏌大牟田
人間らしく働くための九州セミナーが11月16日、17日の両日で福岡県・大牟田市で開催されました。
九州、沖縄各県から約500名が参加しました。
今回の基本コンセプトは「エッセンシャルワーカーの働き方と健康」でした。
コロナ禍で社会生活に必須の職業として注目されたエッセンシャルワーカーですが、現在も労働条件や処遇改善が行われていないのが実態です。
初日の記念講演では田中洋子氏(筑波大学人文社会系名誉教授)が「エッセンシャルワーカーが安心して働ける社会のために」をテーマに、講演されました。
講演の中では、『ドイツは男女の働き方が歴史的に日本と非常によく似ていて、にもかかわらず、さまざまな改革を通じて、働きやすい社会を実現している。例えば、ドイツの生活にはゆとりがあり、午後3時頃に帰る人も多く、子どもや家族・友人と過ごす時間を大切にし、人生を楽しんでいる。日本のように「疲れ」や「あきらめ」がない、それは、ドイツでは働く時間を、働く人に無理のない形で調整する仕組みを発展させている。それを施行錯誤して模索しながら、改革を続けている。第一の違いは週労働時間48時間という上限のもとで、個人の都合に合わせて柔軟に働く仕組みがあり、第二の違いは非正規がない、短い時間働く人もみな正規であるという制度と国民の意識の共有化がある。
労働の時間主権⁉
日本での「当たり前の長時間労働」や「大きい正規・非正規の処遇格差」の違いを強調された。』しかし、2000年前後からの20年間で日本とドイツでは働き方が大きく変化した。日本とドイツでは働く時間のあり方に決定的な違いが存在する。それは、日本が長時間労働で「ブラック化」した時期に、ドイツでは労働時間の選択権(時間主権)を拡大した。年々違いがきわだっているとも指摘。この「違い」=労働時間の上限規制+企業・個人の都合に合わせて働く自由を変えられるようにした。ポイントは
- 働く時間の上限規制と時間短縮
- 会社と個人の事情に合わせた柔軟なフルタイム
- 短時間正社員としてのドイツのパートタイム
この指摘が重要でした。その後、行われたパネルディスカッションでは同様のテーマで看護師、保育士、自治体職員、韓国の非正規労働センターの方が現場の実態を報告後、パネルディスカッションを行いました。各報告者の様々な現場の実態を聞き、エッセンシャルワーカーの働き方はまだまだ改善されていないと改めて気づかされました。
このセミナーを通じ、今後は、エッセンシャルワーカーの働き方改善のため、さらに運動を進め、制度的な改善を求めなければいけないと強く感じました。
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