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陳述書「公契約条例を制定し、建設技能者の処遇改善と適切な賃金・単価の確保について」

陳述書「公契約条例を制定し、建設技能者の処遇改善と適切な賃金・単価の確保について」

5月13日(水)、北九州市議会建築建設委員会で新屋敷副議長が行った口頭陳述の内容を紹介します。


北九州市議会におかれましては、日頃より建設産業の発展をはじめ市民生活の安全確保についてご尽力いただいていることに感謝申し上げます。

さて、建設業界の状況につきましては、行政・業界あげて建設産業の喫緊の課題である技能労働者の確保・育成、改正公共工事品質確保法など「担い手3法」を踏まえ取組まれているところです。

行政・業界・労働組合ともに共通認識であるのは「建設技能者の高齢化」と「建設業に若者が入ってこない」ことによる、建設産業の未来への強い危機感であります。建設技能労働者の減少が進む中、追い打ちをかけるように高度成長期を支えてきた団塊の世代といわれる建設職人が、退職・引退の時期を迎えています。建設産業への雇用確保、技能者の拡大が喫緊の課題となっています。

建設業界の労働環境のひどさ、とりわけ重層下請構造による低賃金・低単価が、業界離れの大きな要因となっているといえます。

建設業の技能者の約3分の1は55歳以上となっており、他産業と比べて高齢化が進行している。建設業が引き続き重要な役割を果たしていくためには、将来の建設業を支える担い手の確保が急務となっている。国土交通省は、建設産業の発展を図る観点から、建設業者団体や企業と連携し、就労環境の整備や人材確保・育成に向けた取組、建設請負契約の適正化を実施するとし、この間、建設業界の社会保険の適正加入、公共工事設計労務単価の引き上げ等を行っています。「公共工事設計労務単価」については2013年より8年連続で引き上げを図るとともに、その適正な賃金・単価がすべてに行き届く手立てを自治体や業界へ求めています。

令和2年3月から適用された「公共工事設計労務単価」は、前年度比2.5%、2012年度比51.7%の引き上げとなっています。全国全職種加重平均値20,214円となっています。

福建労が行う「賃金アンケート」では、昨年は、一人親方・職人1605人、事業主604件、計2209件の回答があり、日当・賃金が上がったは176人(10.96%)、単価が上がったは64件、賃上げの平均額は1613円、1日の平均日額15,165円となっています。

昨年4月福岡市内の国発注現場とゼネコン現場の2ヶ所で現場調査を実施しました。結果は、回答67、平均年齢41.3歳、経験年数17.01年、1日当たりの平均賃金13,369円でした。

建設業の元請下請関係は、幾重にもわたる「重層下請構造」です。そして施工の労働力は下位下請の労働者が担っています。ところが発注者と元請間の契約で計上される労務費額は、下位下請になるほど減額され、賃金は低下する一方です。今では公共事業をめぐる価格競争が激しくなり、国土交通省自ら「建設産業全体の疲弊につながる事態」と警鐘を鳴らしています。公共事業の財源は税金です。公共の福祉や社会的資本の整備を確実に達成するためには、施工にあたる労働者の低賃金や劣悪な労働条件は許されるものではありません。元請契約で積算される労務費額が、施工能力や技能に相応しく現場の建設労働者、建築職人に支払われるべきです。まさに建設現場に働くルールの確立が急務であり受注企業の社会的責任、発注者としての社会的役割の発揮が求められます。

私たちは、「公契約法・条例」こそが、働くルールそのものだと考えています。

公契約条例の制定は、全国の自治体に広がっています。賃金条項をもつ公契約条例制定は22自治体、賃金条項のない条例を含めると51自治体での制定となっています。 北九州市におかれましても、条例制定での全国実績などを踏まえ、「公契約条例」の制定を早期に実現していただくよう強く要望するものです。

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