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安全安心の学校給食のため民間委託を直営に戻すとともに教員への1年単位の変形労働時間制を導入しないことを求める要請(北九州市長・教育長あて)

安全安心の学校給食のため民間委託を直営に戻すとともに教員への1年単位の変形労働時間制を導入しないことを求める要請(北九州市長・教育長あて)

貴職におかれましては、日頃から住民の雇用と仕事の安定、くらしの向上と公務、公共関連職場に働くすべての労働者の雇用。労働条件の向上にご尽力されていることに敬意を表します。

2019年度から北九州市は、現場の「各区に最低でも1校は普通校を残して。」という声もむなしく、特別支援校を除くすべての学校給食調理業務を民間に委託することが始まりました。

現状はどうでしょうか。委託校では、働く従事員の数もぎりぎりに抑えられ、賃金は最低賃金すれすれという悪条件で、働く従事員の入れ替わりの激しい状況は変わっていません。委託業者の離職率が市議会でも取り上げられましたが、問題解決には至っていません。それは求人広告にひっきりなしに募集が掲載されていることでも同様です。

働く人がつづかなければ衛生管理や調理技術は身につきません。また入れ替わる従事員にどれだけの研修が行われているのかも心配なところです。このような状況のなかで教育としての学校給食作りが行われているか疑問です。作り上げること、食器、食缶等の片付けだけで時間いっぱい、清掃などの環境整備がおろそかになるのは当然でこれは従事員が悪いのではなく、民間委託というシステムの問題なのです。

給食の中身の点からいっても、直営の普通校がなくなったので、長年働いてきた調理士の経験があっても、実際にその時、調理に携わっていない献立についての問題点はわかりません。

正規調理士の新規採用が行われ、技術の継承がようやく行われています。しかし新規採用者は大規模校・ドライ校・中学校給食を経験することはできず、経験のない中で委託校訪問を行います。これで問題点が理解できるのでしょうか。決して北九州市の学校給食の質の向上にはつながりません。

合わせて昨年12月、公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制を適用できるようにする「公立の義務教育諸学校等の教育職員に関する特別措置法」の「改正」案(給特法「改正」案)が成立しました。

そもそも、変形労働時間制は、変形期間を通じて、あらかじめ業務の繁閑を見込んで、計画的な時間管理をできること、時間外労働が恒常化していないことを前提としている制度です。

しかし、教員の業務は、夏季休業期間等の時期も、研修・補修・部活動指導の業務があるなど業務量全体が減少するわけではなく、あらかじめ業務の繁閑を見込めるとは言い難い状況です。さらに児童生徒間のトラブルへの対応・家庭との連絡等、時間外労働が恒常化しているのが現状です。このような実態から、教員の業務は変形労働時間制には馴染まないものです。

さらに、労働基準法は、変形労働時間制の導入に労使協定を手続き要件としていますが、条例等により一律に教員への変形労働時間制の導入が可能となるのであれば、労働者にとって不利益な労働条件を実施する場合には労使協定を要件とすることで労働者の保護を図ろうとした法の趣旨を没却するものです。

教員へ変形労働時間制を導入することは、上記のような問題を孕んでいます。また、閑散期と称して休日を割り振られても、実際にやるべき業務があるのであれば結局出勤せざるを得なくなる等、むしろ、長時間労働を助長することになりかねません。

現状でも、学校は長時間労働が常態化しています。長時間労働の結果、精神疾患により病気休職をしている教員数も他の市職員に比して多く、業務改善といっても減少は見られません。

このような長時間労働が進めば、教員のなり手が減る、離職者が増える、ということにつながり、ひいては、教員が児童・生徒と向き合う時間が取れない等、教育の質が低下するという結果につながりかねません。あるべきは、現場の教員の声を聴いたうえで、正規職員の数を増やす等、実態を踏まえた制度構築です。

北九州市の児童・生徒・教職員のため下記項目を要請します。

  1. 安全安心の学校給食のため、民間委託校を直営に戻し学校給食の質向上をはかること。特に問題のある学校については早急に直営にもどすこと。
  2. 教員への1年単位の変形労働時間制を導入しないこと。

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