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新型コロナウイルス感染症にかかわっての要請感染症拡大防止と安全・安心の確立、仕事と生活を守るために(北九州市長・教育長あて)

新型コロナウイルス感染症にかかわっての要請感染症拡大防止と安全・安心の確立、仕事と生活を守るために(北九州市長・教育長あて)

新型コロナウイルス感染症の発症が各地で確認され、市中での感染拡大の防止に、官民をあげて尽力すべき局面に入った。同時に、インバウンド・ビジネスの急激な冷え込みや、製造業のサプライチェーンへの打撃、感染予防としての各種イベント事業中止、学校等の休校を契機に、景気の急激な冷え込みと雇用情勢の悪化に備えるべき状況となっている。

市は、市民、事業者、労働者への自己防衛を呼びかけるだけでなく、感染症予防と雇用・景気について、市としての積極的な対策を打ち出し、速やかに実行すべきである。

ついては、以下の課題の検討と対策の実施を求める。条例改正が必要なものもあるが、幸い、今は市議会会期中であり、予算案を審議中である。大胆かつ速やかな対策を求める。

1.予算の確保

国会で審議中の予算案では想定されていなかった、感染症拡大防止対策、雇用対策、景気対策等が必要となっている。今年度予備費の2700億円では足りないことは明らかである。「予算案を組み替え、不要不急の予算措置は削り、大規模な対策の財源を確保すること。」と国や県に要請すること。

2.感染症拡大防止と安全・安心の確保

  1. 「検査体制の拡充(検査実施施設と検査可能件数の引き上げ)を行い、検査対象を広げること。検査キットの開発・生産を早急に行うこと。」と国や県へ要請すること
  2. 「感染症の拡大状況を把握するため、無保険の人を含め、市内に居住・在留しているすべての人が、本人負担なしの検査と治療を受けられるようにすること。」と国や県に要請すること。実施にあたっては、医療機関への丁寧な情報提供はもとより、受診方法について、マスコミの協力も得つつ、市民への周知をはかること
  3. 医療機関ではマスクや消毒液、その他必要な物資が入手しにくいと言われる。災害対策等の備蓄物資の提供をすると同時に、関係業界団体への生産増強、流通確保の要請を行うこと。流通経路をチェックし、買い占め行為をなくすこと。誤った情報の拡散による物資不足も起きていることから、正確な情報を随時、発表すること
  4. 感染症対応の病床を確保すること。その際、他の病気の治療に必要な病床を減らさず、病床拡大の措置をとること。治療体制確保のため、大学や公立・公的病院をはじめ、協力する民間医療機関などへの財政支援を行うこと。同様の要請を国や県に行うこと
  5. 本市における感染拡大に備え、感染症外来、帰国者・接触者外来の一本化を早急にすすめ、医療施設における院内感染の防止に資すること。一本化にあたり、各医療機関の相互支援・連携の下すすめられるよう、市として施策を講じること

3.雇用等の維持と生活保障

(1)労働者が休みやすい環境整備について
  1. 学校閉鎖の影響、さらには感染症拡大にともなう学童保育、保育所、介護施設等の閉鎖等といった事態に対処するため、「保護者・介護者が仕事を休まざるをえない状況に対応した有給の特例休暇制度を設け、助成を行うこと。」を国に要請すること。合わせて、3月2日に発表された新制度は、子どもの対象年齢が小学校等に限定されているが、「対象年齢を中学校まで広げ、手当の上限額が低すぎるので、雇用保険の基本手当の引き上げとあわせて、改善すること。この臨時措置の手続きにあたっては、事業主に有給特別休暇制度などの整備を要件づけることなく、職場における弾力的な運用でよいものとすること。また書類作成などの手続きを簡便なものとすること。」などを国に要請すること
  2. 「企業に対し、業務の改善や有給の病気休暇の整備、育児介護休暇の取得促進など、労働者が休みやすい環境整備を行うよう、指導しつつ、有給の病気休暇の義務化をはかること(労働基準法改正)。休暇制度は正規・非正規の違いなく、取得できるものとし、3日の付与を目標とすること(健康保険の傷病手当の待機期間の無給状態を防ぐ)。その際、有給病気休暇の普及を後押しするため、感染症拡大をおさえるべき期間(数週間)に限り、病気休暇への助成を行うこと(雇用保険二事業から雇用調整助成金と似た仕組みで行う)。」を国や県に要請すること。
    また、「育児・介護の休暇・休業制度についても改正を行うこと。具体的には、子の看護休暇の対象となる子の年齢要件の引上げと日数の上乗せ、介護休業、介護休暇の日数の上乗せ、そして各制度への休業補償を行い、国としても休業補償に関する助成措置をとること。」を国や県に要請すること。市職員においては、民間に先んじて、非常勤・臨時職員の有給病気休暇を、正規職員と同様に適用するよう、条例改正をすること。
(2)休業の対応に関して
  1. 都道府県知事による就業制限のない中での休業命令にもかかわらず、賃金全額の補償(民法536条2)どころか、休業手当(最低6割:労働基準法26条)すら支払われないなどの労働相談が寄せられている。賃金請求権の原則と労働基準法の休業手当の趣旨の周知と労働相談への迅速な対応、使用者への是正指導を行うこと。その際、雇用調整助成金の特例措置の要件を緩和し、適用対象を広げたうえで、事業主への周知をはかること
  2. 低賃金の労働者からは6割の最低保障では生活できないとの切実な声が寄せられている。「低賃金層については、最低基準の割合を6割よりも引き上げる改善を検討すること(労働基準法改正)。」を国に要請すること
  3. 学校等の閉鎖においては、正規職員だけでなく、非常勤・臨時職員に対しても有給の特別休暇を付与するよう、条例等の制度整備をすすめるとともに、その財源については、財政状況をふまえて国庫から補填してもらうことを含め検討すること。
(3)リストラ規制と雇用調整助成金の要件緩和・拡張適用について
  1. インバウンド関連事業を中心に、受注減少や先行き見通しの厳しさを理由とした解雇、雇止め、委託契約の解除などが起きている。体力のある企業が、新型コロナウイルスを口実に雇用削減や契約打ち切り、下請け企業への負担押し付けをすることがないよう、指導すること。
  2. 「雇用調整助成金の特例措置が適用される対象を、現行の「日中間の人の往来の急減により影響を受ける事業主」に加え、「中国での生産減少や感染予防対策による事業中止等の影響を直接・間接に受ける事業主」とすること。中小企業に対する助成率を改善し給与全額の補償を可能とすること(現在は2/3の助成)。あわせて、緊急事態における臨時の措置として、「同一事業主に引き続き雇用保険被保険者として雇用された期間が6か月以上の者の休業等が支給対象」との要件を緩和し、全労働者を適用対象とすること。」を国に要請すること。
  3. 「 雇用調整助成金の要件のさらなる緩和に加え、同様の制度枠組みで委託契約の解除防止と休業補償となる特別助成措置を実施すること。雇用保険適用事業主との間で、継続的な委託契約を結び就業しているフリーランスについても臨時の休業補償を支給すること。手続きとしては、雇用調整助成金の枠組みを援用し、財源は、労働保険特別会計に別枠をつくり、国庫負担金の投入でまかなうこと。」を国に要請すること。それらの措置を周知しつつ、事業主に対して安易な委託切りなどのリストラを行わないよう、要請すること。
(4)感染拡大防止として推奨されている「働き方」について
  1. テレワークについては、導入の際、8時間労働制の原則にのっとった運用を行うよう、指導すること。安易な裁量労働制の導入は行わないよう、法令に定められた手続きや要件を周知すること。要件を欠いた違法なみなし労働時間制度の下での割増賃金未払いや、恒常的にみなし労働時間を超える裁量労働制の場合の制度見直し等の是正指導を強化すること。
  2. 時差出勤のためにフレックスタイム制を導入する場合も、法令に定められた手続きや要件(精算期間における総労働時間を超えた場合の割増賃金支払い義務等)を周知すること。
(5)傷病手当金について
  1. 「健康保険の傷病手当の要件を改正すること。有給病気休暇が普及しないなかで待機期間3日間は長いので、短縮すること(有給病気休暇が義務化された後、休暇の付与日数と整合させる)。」を国に要請すること
  2. 「健康保険に本人が未加入の場合でも、傷病手当金が支給されるよう、制度改正を行うこと(国民健康保険に傷病手当金の制度を創設し、雇用類似の働き方の場合にも支給する。健康保険第3号被保険者にも傷病手当金を支給するなど)。」を国に要請すること
(6)失業対策について
  1. 「政府が提出している「雇用保険法等の一部を改正する法律案」は、雇用情勢が良好な時を想定したものであり、情勢に合わない。高齢者雇用安定法等も含めた一括法案とされているが、各法案を分離し、雇用保険法案についても単独で審議すること。」を国に要請すること
  2. 景気後退による失業増に備えるため、以下の点について、雇用保険法の改正を行うことを国に要請すること
  • 労働保険特別会計雇用勘定の備えとして、国庫負担を本則に戻すこと(現行制度と同様、法案では本来の国庫負担金を1/10に減らしている)
  • 自己都合退職の際の給付制限期間を退縮すること(3月⇒1か月。厚生労働省雇用保険部会報告は2か4月)
  • 給付日額の改善と、(情勢にあわせて)給付日数の延長を行うこと

4.中小企業支援として以下のことを国に要請すること

  1. 中小企業の資金繰り悪化等への対応策として、貸出金利の引き下げを行うこと。また、 借り手である中小企業の求めに応じ、金融機関は返済猶予や金利減免などの融資条件変更に応じるものとすること(金融円滑化法)
  2. 業況の悪化が顕著な業種については、信用保証協会の一般保証とは別枠での無担保の保証が受けられるようにすること。また、保証料の一部を自治体が負担する都道府県の制度融資の改善を行うこと
  3. 中小企業にとって、昨年10月からの消費税増税は、価格転嫁ができないことなどから、重い負担となっている。消費税を5%に減税すること。また、納税時の期限延長などの弾力的な運用を行うこと

5.臨時休校に伴う措置について

  1. 2日より突然始まった休校措置によって生じた問題は、子どもや保護者、教職員の意見を十分反映した早急な今後の対策をとること
  2. 休校期間中の児童生徒への対応については、ガイドラインを示すとともに、学校の判断を尊重すること
  3. 子どもや保護者の不安や心配を解消できるように以下の点を実施すること
    1. 保護者が仕事を休めないなど、受け入れ先がない子どもについては、学校を含めその居場所を確保すること。対象の児童・生徒を全体にひろげること
    2. 学童保育・児童館・放課後デイサービス等を受け入れ先とする場合は、スペース及び職員の確保をそれぞれの施設の実情を踏まえ緊急に行うこと。また、受け入れ先となった施設への財政支援を行うこと
    3. 休暇を取ることにより経済的な損失を受ける保護者に対しては、国に対して財源保障を含め必要な対策を行うよう求めること。(再記)
  4. 教職員の雇用と服務について
    1. 教職員の勤務については、在宅勤務や時差出勤、さらには職務専念義務の免除を今後とも認めること
    2. 学校等の休校で子育てのため勤務が困難な教職員については、特別休暇等取得可能な休暇について周知すること
    3. 授業や子どもの指導が行われることが前提で任用されている臨時・非常勤教職員については、任用期間の満了まで任用を継続するとともに、給与等に不利益が生じないよう取り扱うこと。その旨を該当者に周知すること
  5. 休校になることで生じる特別の支援(ネグレクト等虐待状況にあるを含む)を要する児童生徒の課題については、実態を把握し必要な措置を講じること
  6. 休校措置により標準時数を下回ったとしても、無理な時数確保を押しつけないこと

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