北九州市における企業の発展をめざす貴職のご精励に敬意を表します。
日本最大の広告会社である電通では、2015年12月25日に入社9ヶ月の女性社員(当時24歳)が過労自殺しました。この社員の月当たり残業時間は100時間強であったといいます。2016年10月7日、三田労働基準監督署はこの女性社員の過労死を認定しています。それに先立つ24年前の1991年8月27日には、電通に入社して2年目の男性社員(当時24歳)が、自宅で自殺しています。男性社員の1ヶ月あたりの残業時間は147時間にも及んでいました。遺族は、会社に強いられた長時間労働により鬱病を発生したことが原因であるとして、会社に損害賠償請求を起こしました。この裁判は同社が遺族に1億6800万円の賠償金を支払うことで結審しました。この事件は、日本の労働史における重要な事件であり、そもそも「過労自殺」という概念はこの事件によって初めてクローズアップされるようになったと言われています。
福岡県内でも、糸島市の課長だった男性(当時52才)が在職中に自殺したのは、過重労働でうつ病を発症したためだとして、遺族が計約7,700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(金村敏彦裁判長)は10日、市の安全配慮義務違反による不法行為責任を認め、約1,600万円の賠償を命じる判決を下しました。判決によると、男性は1市2町の合併に伴う農業用施設工事の負担金に関する条例案の業務を担当。利害が対立する中、地元説明会で住民の不満の矢面に立ち、議員質問に対する答弁書の作成にも当たっていました。男性は2010年6月に自殺。自殺前1カ月間の時間外勤務は約114時間に上っていました。 北九州地区労連に加盟する労働組合でも、長時間労働、サービス残業問題で会社と裁判で争っている労働者が多数存在します。長時間過密労働は、労働者から正常な判断力を奪い、どこかに相談するということも考えられなくなり、突発的に現実から逃れるために自死を遂げてしまうことが多いとされています。このような不幸な事件がふたたび起きることの無いように、長時間過密労働問題に関しての意識を高める取り組みを北九州商工会議所として強めていただくよう下記の様に要請します。
- 加盟企業に対して、労働基準法の遵守を呼びかけ、長時間過密・サービス残業の撲滅をめざす取り組みを強化する様、提案・要請をして下さい。
- ワークルール教育の推進を加盟企業に提案・要請をして下さい