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公契約条例の制定による適正賃金・労働条件 の確保と地域経済の振興を求める要請書(北九州市,教育委員会,北九州商工会議所あて)

公契約条例の制定による適正賃金・労働条件 の確保と地域経済の振興を求める要請書(北九州市,教育委員会,北九州商工会議所あて)

貴職におかれましては、日頃から地域住民のくらしの向上と、公務、公務関連職場に働くすべての労働者の雇用・労働条件の向上に尽力されていることに心から敬意を表します。

北九州春闘共闘連絡会は、2019年春闘の重要な要求課題として「かちとろう!大幅賃金引き上げ、8時間働いて人間らしくくらせる社会」「公契約条例の制定による適正賃金・労働条件の確保」などを掲げて取り組みを強めています。

自治体が発注する公共工事や委託事業において、ダンピング受注が激化し、そのしわ寄せが、労働者の賃金を低下させています。建設産業への若年入職者が減少する一方、高齢化が進み、このままでは熟練労働者から若手へ技能が承継されず、建設産業や公共関連事業の将来に深い影を落としています。人材育成には一定の期間を要するため、今、対策を講じなければ、近い将来、災害対応やインフラ整備・維持・改修にも支障が生じかねません。低額発注や重層下請のピンハネ構造による低賃金は、ワーキング・プアを生むだけでなく、公共サービスや建築物の質の劣化・事故を招きます。

ここ数年は、「トップランナー方式」による自治体財政の締め付けが厳しくなり、正規職員の定員が削減され臨時や嘱託・パートなど非正規職員への置き換えが進み、低賃金、不安定雇用のまま行政に不可欠な仕事をになうようになっています。公務・公共サービスの質的劣化が問題になっています。さらに、各地で相次ぐ自然災害でも、公共施設への信頼に疑問が出される場面も増えています。その上、労働者不足で建設産業そのものが疲弊し、地域経済の維持に警鐘が発せられており、老朽化の進行による生活関連インフラの改修すらできない事態が起きています。

その打開のため国土交通省は、2013年から2018年の6年間で公共工事設計労務単価を全職種平均で39.3%(東日本大震災被災地では55.3%)引き上げ、「適切な賃金水準の確保と社会保険加入」を業界団体や自治体に要請しました。これによって、公的機関からの公共工事発注単価は改善されましたが、元請企業や中間業者による「中抜き」やピンはね、一向に改善されない重層下請け構造などで、その賃金が現場の労働者に届いておらず、現場労働者の処遇は、政府の意図通りには改善されていません。さらに、アウトソーシングや指定管理の現場で働く多くの労働者の賃金は、最低賃金に接近しています。

こうした事態を改善するために、いま、「公契約条例」の制定が各地で急速に広がっています。残念ながら、日本の法・条例で、賃金を規定できる法律・条例は最低賃金法と公契約法・条例以外にはありません。公契約条例を制定する目的は、発注額と労働者の賃金の適正化により、公務・公共サービスの質の確保、事業者の健全経営、労働者の暮らしの安定と技能向上を確保し、地域循環型経済の確立をめざし、市民が安心して暮らすことのできる地域社会を実現しようとする自治体の決意を住民に宣言することにあります。

北九州市でも、早急に、公契約条例を制定し、住民の安全・安心を守る公務・公共サービスの質を確保するために、ダンピング受注を廃して適正価格による発・受注を実施し、労働者の労働条件を改善することが緊急に必要です。 さらに人手不足の拡大によって、必要な行政サービスが確保できないような事態は避けなければなりません。よって、北九州市が労働者の適正な賃金・労働条件を確保する「公契約条例」を制定すべく、本要請書の趣旨を積極的に受け止めていただき、公契約条例の制定に向け積極的の対応していただくよう要請いたします。

  1. 北九州市が発注する公共工事や業務委託について、公的サービスの質を確保するため、市が適切と考える賃金・報酬が、事業に従事する労働者に確実に支払われるよう、公契約条例に向け積極的に対応していただくよう要請いたします。

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