日頃より、北九州市民の生活と健康・安全確保のため、努力されている貴職に心から敬意を表します。
2月10日、第164通常国会に「医療制度改革関連法案」(以下「法案」)が上程されました。「法案」は、「高齢者の窓口負担増」「高額医療費の負担増」「高齢者の食費の全額負担」など、高齢者をねらい撃ちにした大幅な負担増を行う一方で、市町村が運営を担う新たな高齢者医療制度の創設など国の負担と責任を大幅に後退させるものとなっています。そればかりか、今春4月からの医療機関の診療報酬を引き下げ、約1兆円の医療費を削減しようとしています。
この間の医療制度や社会保障の削減の中で、すでに多くの医療機関では収入減からくる労働者の賃金や労働条件の削減が行われており、現場労働者へのしわ寄せとともに、そのことが結果として医療水準の低下を招き患者へのしわ寄せとなっています。また、医療の高度化、医療労働者の労働実態の悪化等を背景に、医師・看護師などの人手不足が重大な問題となっています。
日本医療労働組合連合会(日本医労連)が昨年行った「看護職員の労働実態調査」では、平均年齢35.8歳という比較的若い集団でありながら、健康不安が64.8%、慢性疲労が77.5%にもなっています。また、「仕事をやめたいと思う」という回答が72.5%に達しており、やめたい理由は、「仕事が忙しすぎるから」が35.8%、「仕事の達成感がないから」が21.6%、「本来の看護ができないから」16.4%と働き続けることが困難な状況が生じていることが明らかになっています。
いま、安全・安心の医療を実現する上でも、医師・看護師をはじめとする医療従事者の大幅な人員増が必要となっています。あわせて、日本国憲法第25条の生存権を生かし、国民だれもが安心して暮らせる医療・社会保障の充実が求められています。
そうした趣旨から、以下の項目の実現に向け、市として国に対して働きかけを強めて頂くとともに、ご尽力されることを要請いたします。
- 健保3割負担を2割に戻すなど、患者負担を軽減すること
- 入院時の食費、部屋代などの患者負担を増やさないこと
- 高齢者の患者負担と保険料の引き上げを行わないこと
- 必要な医療は公的医療保険で保障し、保険のきかない医療行為は増やさないこと
- 医師や看護師の増員や医療の質と安全が確保できるよう診療報酬を改善すること