地域住民の暮らしを守るための貴職のご奮闘に心からの敬意を表します。
さて、厳しい経済情勢の中、地域の暮らしを支える上で、自治体の果たす役割にあらためて注目が集まっています。ところが、自治体職場では正規職員の定員が削減され、臨時や嘱託・パート、非常勤などの非正規職員が増え、低賃金・不安定雇用のまま、行政に不可欠な仕事を担うようになっています。
また学校給食調理業務などの民間委託では、入札業者がコストを下げるために、労働者を「最低賃金ギリギリ(時給700円前半)」で雇用している現実があります。
同様に、業務委託や指定管理施設の労働者は、適正な人件費の支払い・労務管理の実現という観点からすると、安すぎる委託料、しかもその委託料が減額されているという現状にあり、正規職員であっても劣悪な賃金・労働条件を強いられています。しかも委託(指定)を受けるための低価格競争でそのしわ寄せが労働者の賃金に向けられているとともに、雇用不安に結びついています。
「住民の福祉の増進を図る」ことを使命とし、人間らしい労働や生活を保障することが自治体の役割です。自治体の職場や、自治体が発注・委託する仕事で、ワーキングプアをつくりだすことはあってはならないことです。自治体にはこうした状況に対して適切な対応と規範性が求められると思います。自治体の事業によって、貧困な労働者を生み出してはなりません。 つきましては、下記要請内容について真摯に検討され、積極的な対応をはかられるよう要請します。
- ILO94 号条約(公契約における労働条項に関する条例)を批准し、併せて国
内法を整備するよう政府・国会など関係機関に働きかけること。また、同条約の趣旨を踏まえた「公契約条例」を制定すること。 - 「公共サービス基本法」を踏まえ、受託事業者が雇用する労働者の賃金・労働条件が、類似の業務に従事する自治体の正規職員や地域の一般的な賃金水準を下まわらないよう、入札制度の改革を行ってください。その手法として公契約で働く労働者の適正な賃金・労働条件を保障する「公契約条例」を制定し、公契約の事業に従事する労働者の賃金・労働条件について、公正・適切な賃金が確保されるように契約業者等を指導すること。
- 自治体が直接雇用する嘱託・臨時など非正規職員の低賃金、雇い止めを改め、均等待遇の実現に向けて、賃金・一時金・諸手当・退職金をはじめとする労働条件を改善し、雇用の安定と生活保障をはかること。